パイロープ・ベクトランスポーク
末端はアルミ製
もちろん専用のハブが必要
必然的にストレートスポークになる
完組状態のホイール 29erのMTBホイールでなんと1060グラム
http://www.bike-magazin.de/mtb_news/teile_zubehoer/pi-rope-laufraeder/a38844.html
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おー、ユニークなスポークがドイツから登場しましたよ!
繊維スポークと言えば……、現在ではライトウェイトやらマヴィック・コスミックアルティメイト、レイノルズ・RZRなどハイエンドホイールで見られる、究極のホイールテクノロジーを投下したと言えるものです。
ですがそれらの製品が出てくる前に登場しパイロープとそっくりな外観を持つのはスピナジーでしょう。スピナジーは同じ繊維が素材ながらもザイロンを使用しています。パイロープのベクトランはは同じスーパー繊維にカテゴライズされますけど、ザイロンが第三世代なのに対してこちらは第二世代となります。日本では少々見かけにくくなりましたが、独特の乗り味を持ち高い振動吸収性を持つところが、根強いファンを築いています。
内部はかなり異なります。スピナジーはストレートで外を樹脂のカバーが覆います。対してパイロープは編み込まれておりカバーもありません。共通点は双方ともカーボン系繊維スポークとは異なり樹脂で固めていないところでしょうか。
そしてベクトラン。我々自転車乗りはタイムがフレームやフォークに振動吸収素材として仕込まれていることくらいしかなじみがありません。歴史としては、1990年にクラレが量産体制を確立し発売したポリアリレート繊維(=ポリエステル系繊維)がベクトランです。オリジナルはアメリカのヘキストセラニーズという会社が発明したのだそうです。その性質として高強度、高弾性を持ち合わせ、水分を吸収せず、耐摩耗性が高く、耐切創性もあり、寸法安定性が良く、極低温下でも物性に優れるとのこと。実際、ワイヤとして各分野で使用されているとか。http://www.kuraray.co.jp/products/question/fiber/vectran.html http://www.jcfa.gr.jp/fiber/topics/vol09.html
まあ非常に丈夫ということです(笑)。はじめはスピナジーのようにストロー状のカバーがなくて大丈夫だろうか? と思いましたが、どうやら特性的に吸水しないようなのでこのように繊維むき出しなのですね。耐カット性も高いみたいでこれならパイロープが正しいと思います。樹脂で繊維すべてを固めていないので、繊維同士が摩擦をすることで振動吸収性はかなり高くなっているでしょう。色は着色したモノもあるようです。
で、同じ寸法のサピム・CXレイと比較したとき、4.6グラムに対してパイロープは2.2グラムしかないとのこと。いや、軽い! そして29erカーボンリムホイールをこれで作った場合、1060グラムという軽さに仕上がるのです! わお、本当ですか? 個人的に好きなDTスイス・チャンピオン(14番プレーンブラック264ミリ)が約6.9グラムなので……、あ、1/3だ。そもそもスポークって結構重量が嵩みます。先述のDTの場合、32H前後ホイール分で444グラムということになるので、割合が結構なモノだとわかると思います。となるとパイロープは相当軽いですよね。
しばらく同じドイツのブランド、ニューメンへだけの供給になるそうです。
これMTBももちろんですが、ロードに良さそうですね。今後ロードバイクはディスクブレーキモデルがより増えていくでしょう。そうなるとどうしてもスポーク本数を増やさなくてはなりません。ですがスチールスポークでは重くなってしまいます。そこで必要なのは軽量で強靱なスポークとなります。このパイロープはまさにぴったりです。
今後の改良点としては、エアロ形状を実現することでしょうか。そうすればさらに究極のホイールに近づくことが出来るはず。
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