- 1. シマノ・M9100 XTR
- 1.1. クランク系
- 1.1.1. シングル用クランクセット チェーンリング:30、32、34、36、38T
- 1.1.2. ダブル用クランクセット 38×28T このダブルクランクセットは10~45Tのカセットスプロケットしか使えない
- 1.1.3. クランクはワンキー構造で外れる。ガタは左クランクのこのダイヤルで解消させる。手回しが可能
- 1.1.4. ダイレクトマウント形式を採用したチェーンリング。シマノ製が最高の相性だろうが、楕円リングやラインナップにない歯数などのサードパーティ製を使用するときも簡単にできると思われる
- 1.1.5. Qファクターが162と168ミリから選択可。チェーンライン52ミリ。シャフト径はシマノ王道の24ミリ。やはりBB30はラインナップされない
- 1.2. リヤディレーラー
- 1.3. フロントディレーラー
- 1.4. ラピッドファイア
- 1.5. ディスクブレーキ系
- 1.5.1. ディスクブレーキレバー XC用 マグネシウム&カーボン製 レバーアジャスト機能を持つ
- 1.5.2. ディスクブレーキレバー トレイル用 アルミ製。サーボウェーブとレバーストロークアジャストノブ、パッドコンタクトアジャストなど多彩な調整機能を持つ
- 1.5.3. ディスクブレーキキャリパー XC用 ワンピース削り出し構造 軽量なマグネシウムモデルではなくよりパワーを重視したためアルミモデルの系譜を継ぐ。パッド形状は従来の2ポットタイプとは異なり、デュラエースなどのロード系と互換性がある。レジン、メタルが選択可能。オプションでチタンバックメタルタイプもある
- 1.5.4. ディスクブレーキキャリパー トレイル用 鋳造2ピース構造 8%の剛性向上、10%のパワーアップを果たした。異径4ポットだが、セイント&ZEE(16/18ミリ)とは径が異なりこちらはよりコントロール重視に(15/17ミリセラミックピストン)。レジンメタルが選択可能
- 1.5.5. 新型アイステックフリーザローター 変わらずクラッド材を使用。さらにデュラエースと同じ放熱性に優れる塗料を塗布することで従来モデルに対して表面温度がマイナス20度となった。サイズ:140、160、180、203ミリ
- 1.5.6. 4ポットキャリパー用パッドはセイントなどのシマノ現行4ポット用と互換性有り
- 1.6. カセットスプロケット
- 1.7. チェーン
- 1.8. ハブ
- 1.8.1. Jベンドスポーク用ハブ
- 1.8.2. ストレートスポーク用ハブ
- 1.8.3. リヤ用は142、148ミリ。スポーク穴28、32H
- 1.8.4. グレード外のマイクロスプラインボディ対応ハブ Jベンドスポーク用 こちらはハイローフランジではない
- 1.8.5. グレード外のマイクロスプラインボディ対応ハブ ストレートスポーク用 フランジはXTRに倣いハイロー型を採用。さらにオーバーブースト規格用に更なるワイドフランジモデルが控えている模様
- 1.8.6. マイクロスプラインとなった新型フリーボディ。アルミ製
- 1.8.7. シマノはこのリングドライブラチェットを『サイレンス』と呼ぶようだ。カセットボディを回すと文字通り音がしない
- 1.9. ペダル
- 1.10. フロントシングル用チェーンデバイス
- 1.11. スペック
シマノ・M9100 XTR
本当は前のページでと思っていたのですが、あまりの膨大さに無理と判断しこちらにまとめました。M9100 XTRはかなりの手が入れられています。しかも時代に則したことばかり。最も驚いたのは……、ハブかも知れません。というか何故に11速がラインナップにあるの?
1×12ドライブトレイン10-51T ワイドレンジ
1×12ドライブトレイ 10-45T リズムステップ
1×11ドライブトレイン10-45T ライトウェイト
2×12ドライブトレイン10-45T
クランク系
シングル用クランクセット チェーンリング:30、32、34、36、38T
ダブル用クランクセット 38×28T このダブルクランクセットは10~45Tのカセットスプロケットしか使えない
クランクはワンキー構造で外れる。ガタは左クランクのこのダイヤルで解消させる。手回しが可能
ダイレクトマウント形式を採用したチェーンリング。シマノ製が最高の相性だろうが、楕円リングやラインナップにない歯数などのサードパーティ製を使用するときも簡単にできると思われる
Qファクターが162と168ミリから選択可。チェーンライン52ミリ。シャフト径はシマノ王道の24ミリ。やはりBB30はラインナップされない
リヤディレーラー
ロングケージ 1×12速用
スーパーロングケージ 1×12速用
スーパーロングケージ 2×12速用
裏 ガイドプーリーは13Tだった……
上から
フロントディレーラー
ノーマル
Eタイプ
ダイレクトマウント
フロントディレーラー ……なんだかこれだけイラストっぽい? ついにあれだけ山のようにあったフロントディレーラーのラインナップが絞り込める。開発は後回しになっているようだが、今のところマウント形状に合わせて3種となっている
ラピッドファイア
ラピッドファイア右側 従来通り2ウェイリリース、インスタントプッシュ機能を備える。20%クイックに、そして35%軽い動作を実現
ラピッドファイア左側 フロントが最大2速になったせいか、レバーを一本するという割り切り!
これはハイトアジャストシートポスト用のレバー
ラピッドファイア裏 シルバーのボルトは11速にする切り替えを行うためのもの
変速レバーにゴム? のすべり止めが
ディスクブレーキ系
ディスクブレーキレバー XC用 マグネシウム&カーボン製 レバーアジャスト機能を持つ
ディスクブレーキレバー トレイル用 アルミ製。サーボウェーブとレバーストロークアジャストノブ、パッドコンタクトアジャストなど多彩な調整機能を持つ
ディスクブレーキキャリパー XC用 ワンピース削り出し構造 軽量なマグネシウムモデルではなくよりパワーを重視したためアルミモデルの系譜を継ぐ。パッド形状は従来の2ポットタイプとは異なり、デュラエースなどのロード系と互換性がある。レジン、メタルが選択可能。オプションでチタンバックメタルタイプもある
ディスクブレーキキャリパー トレイル用 鋳造2ピース構造 8%の剛性向上、10%のパワーアップを果たした。異径4ポットだが、セイント&ZEE(16/18ミリ)とは径が異なりこちらはよりコントロール重視に(15/17ミリセラミックピストン)。レジンメタルが選択可能
新型アイステックフリーザローター 変わらずクラッド材を使用。さらにデュラエースと同じ放熱性に優れる塗料を塗布することで従来モデルに対して表面温度がマイナス20度となった。サイズ:140、160、180、203ミリ
4ポットキャリパー用パッドはセイントなどのシマノ現行4ポット用と互換性有り
カセットスプロケット
12速用 10、12、14、16、18、21、24、28、33、39、45、51T
12速用 10、12、14、16、18、21、24、28、32、36、40、45T
これは11速用 10、12、14、16、18、21、24、28、33、39、45T
トップから1と2枚目の歯には内側にスプラインがない。恐ろしいことにロックリングの締め付けと1枚目への凹凸だけで保持するようだ
HG-XがHG+に進化! 従来より30%クイックな変速を実現したという
チェーン
新形状のHG+へ 内側の面取り形状がチェーン外コマの左右で異なる内側に盛り上がらせることにより空間を狭くし、シフトアップ時のチェーンが落た時のショック、ガタを減らしている
『ダイナミックチェーンエンゲージメント+』従来のチェーンとは互換性のない新しいチェーンリング歯先形状。HG+との最適な嵌め合いのためのデザインだ。上の画像の青くマーキングれされてる部分の盛り上がりが歯先の面取り部分とフィットするように作られている
チェーンコネクターもラインナップ。というか接続にはこれしかないらしい
ハブ
Jベンドスポーク用ハブ
ストレートスポーク用ハブ
リヤ用は142、148ミリ。スポーク穴28、32H
グレード外のマイクロスプラインボディ対応ハブ Jベンドスポーク用 こちらはハイローフランジではない
グレード外のマイクロスプラインボディ対応ハブ ストレートスポーク用 フランジはXTRに倣いハイロー型を採用。さらにオーバーブースト規格用に更なるワイドフランジモデルが控えている模様
マイクロスプラインとなった新型フリーボディ。アルミ製
シマノはこのリングドライブラチェットを『サイレンス』と呼ぶようだ。カセットボディを回すと文字通り音がしない
ペダル
SPDペダル XC用
SPDペダル トレイル用
フロントシングル用チェーンデバイス
スペック
12速チェーン用工具
2019 Shimano XTR M9100 Unveiled – This. Changes. Everything.
https://www.bikeradar.com/mtb/news/article/shimano-xtr-m9100-m9120-price-weight-details-micro-spline-freehub-52337/
https://www.vitalmtb.com/features/Shimano-Goes-BIG-New-1X-XTR-Drivetrains-Brakes-More,2372
Shimano XTR M9100 MTB groupsets announced: 12-speed and a new freehub standard
https://www.pinkbike.com/news/first-look-shimanos-new-xtr-m9100-is-more-than-just-12-speed.html
TEXT
ひょっとすると、普通かも知れない……。そんな杞憂をシマノはあっさりと覆してくれました。ただM9000~歯数が一枚増えただけではなくドライブトレイン一新、ブレーキもよりパワーを得たシマノオフロードコンポの頂点にふさわしい製品が出て来ました。
フリーボディはマイクロスプラインですべてを一新。これはホイール界に与える影響は絶大でしょう。おそらく他のメーカーとはかなりの衝突があったかと(ホイールメーカーではなく大手完成車メーカー)。なにせ9速時代のボディから一部手は加えられていますが、そのまま11速まで使えてきましたから。シマノほどの大メーカーとなれば、あまり勝手をするわけにはいきません。それでも頑張ったシマノに拍手です。しかしXDドライバーを用意しているメーカーならあっさりと対応出来るような気もします。今後様々なグレードに波及することは必至で、ロードバイクにすら行く可能性があります。なにせあちらも12速が控えていますから。
とすると、リングドライブにしたのは踏み込んだときのギヤのかかりももちろんあるのでしょうが、どちらかというとカセットスプロケットを迅速に交換できるというところにもあるかもしれません。このタイプのラチェットはほんのわずかな工程でカセットボディごと抜き去ることが可能ですし。
それとフリーの強化ですか。リングドライブ(シマノはサイレンスと呼ぶらしい)なら、ラチェットよりも接触面積が多くなります。29erホイールに51Tという化け物のようなスプロケットはフリーにかつてない負荷を与えることでしょう。29erが出て来たとき、シマノはハブをなかなか対応させませんでした。もちろん普及するかどうか見計らっていたというのもあるでしょうけど、壊れないフリー構造の模索を随分していたのだと推測できます。それがこのようなリングドライブという形になったのだと。もちろんEバイクのパワーにも耐えうるでしょう。従来のXTRは36ノッチでしたが、新型は48ノッチになります。
気をつけたいのは、ハブのOLDがどうやらブーストがスタンダードになりそうだということです(いや、言い過ぎかな?)。実際シマノはXTRにおいてノーマルスルーアクスル対応を1種類しか出していません。他はみなブーストエンド対応なのです。これはここ1年くらいのフレーム変更には要注意という事ですね。
驚きなのが完組ホイールを同じタイミングで出してこなかったことです。どうやらシマノ、ホイールには及び腰になっている模様。確かにハイエンドレンジはどこもシマノホイールを採用していませんしね……。D系もそうです。辛うじて入門グレードかな? といったところでしょうか。この分野はまったく力が足りていませんね。ブースト規格もスーパーファットもリムのワイド化もすべてに置いて後手というか、なすすべ無しという感じですから。むーん、開発ライダーは悪くないはずですから、それを生かし切れていないということでしょうか?
ハブは良いのですから、ちゃんとハイエンドの29erカーボンチューブラー、29erと27.5のカーボンチューブレスレディ、ミドルクラスの29er&27.5のチューブレスレディで、各エンド規格に沿ったものを大手ならではのコストパフォーマンスで出してくれれば結構売れると思うんですけど。あ、グラフィックはダメですね。ここは大幅に変えないと。今回のM9100 XTRのようにやれば出来るんですから、頑張るべきですよ。一回だけでも外部のデザイナーを登用しても良いじゃないですか。
もしくは完全にオリジナルコンセプトのホイールを作るかです。本当はこっちが正しいんですけどね。
今回のXTRを開発するに当たってパートナーとなったのがDTスイスらしいです。ああ、確かにプロライダーが乗っているバイクに装備されて居るのはDT製ホイールばかりでした。シマノもこういう風になる時代がやってきたのですね。少し寂しい気もしますが、元はホイール屋ではないのでしょうがないですか。ホイールが間に合わないからハブが良くなったというのはあまりにも皮肉ですけど……。
もし、セイントやZEEのようにホイールを展開しないと割り切るならば、シマノには一つだけお願いがあります。ホイールに貼れる大きく丈夫なステッカーを標準で入れておいて頂きたい!!! できればワンホイールに2枚! カラーバリエーションはオプションで良いですから! これ大切です(笑)!
そして私が最高に不要だと思った1×11速。まあ、やるならばためらいなくやってしまえ! ミックスコンポなんて考慮するに値しない!! と思って居るからなんですが(笑)。……あ、これ、買い換えの人用の救済措置なんですね。コンポに加えてホイールも交換するのはどう考えても予算的に厳しい。そこで止まってしまわれてはシマノとしてもこの新しい試みを導入してもらえない。ならばホイールとカセットスプロケット一式は交換しないで、他の部分だけでも交換してくれたらよい。シフターはボルト一本で11と12速の切り替えが出来るようにしてあるのはそのためですね。
ディスクブレーキの冷却を司る部分がパッドとローターの両方に改良が施されました。これはおそらくシマノが冷却と言うことを本気で向き合ったのかと。その結果の新形状でしょう。単純に考えればヒダヒダを増やして表面積を広げれば冷やされる熱も多くなります。しかしこれは逆に減っているように見えます。これはF1のホイールのように、空気の流れを制御しているのでしょうか? 考え過ぎかな? そして塗装。ああ、デュラエースの時もあまり注目する人はいませんでしたが、最近プラモデルに凝っている私にとってとても気になる部分でした(笑)。はい、放熱性に優れる塗料を使っているんですね。ラジエターフィンはむき出しというのが当たり前だったのでびっくりしましたが、それも応用されていました。
マグネシウムキャリパーは見送りとなったようです。マスターはまだマグネシウムですけど。これは軽さと言うよりも制動力を取ったということでしょう。年々冗談のように激しくなっていくXC系やEWSでは間違いなく高い制動力が求められます。XTR初の4ポットブレーキ登場にもそこら辺の後押しがあったのでしょう。
カセットスプロケットの歯数もライダーの意見が色濃く反映されたようです。10~45Tはエンデューロ系ライダー、10~50TはXC系のライダーの支持があったとか。それを両方くみ取ったのは良い仕事だと思います。一応11~51Tのキャパシティはスラム・イーグルを越えていますし(笑)。……歯の枚数が増える度選択肢が減っていくのは仕方がないですね(苦笑)。
電動式、ホイールなどはまだこれからです。正直、スラム・イーグル前も厳しかったのですが、イーグル以降、シマノとスラムの差が歴然となりました(スラム・イーグルEタップはフロントシングル化と同じシンプルかという路線上にあります。無線化と言うところでさらにシマノに先んじています。シマノは電動系M9100でそのシンプルさに追いつかなければなりません)。確かに完成車スペックインではまだ数で先んじてはいましたが、M9000は直後にかなりのインパクトをもたらした以降、支持がぐいぐい集まるという感じではありませんでした。その下のコンポもしかりです。これは……、乗り手の意見の取りこぼしがあったからでしょう。今回のシマノはサードパーティにすら先んじて51Tというようなスーパービッグギアを用意し、フリーも強化、さらにブレーキも効き重視のラインナップを揃えました。欲を言えばハイトアジャストシートポストもXTR名義で発表してコンポに組み込んでしまえば尚良かったですけど、そこはまあ、次に期待しましょう。
単純に使ってみたいと思わせるXTRではないでしょうか?
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