フラスバイク・F160
向こう側がスケスケです!
https://www.pinkbike.com/news/the-frace-f160-is-milled-from-a-70kg-slab-of-aluminium.html
https://www.fracebike.de/#leistung
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フラスバイクなのですが、ひょっとしたらフライスバイクと読ませるのかなとも思って居ます。ドイツのメーカーです。まだ海外は意識していないのか、本国サイトはすべてドイツ語です。
これまた愛に溢れるバイクが出て来ました(笑)。なんと7075アルミ総削り出しです! 70キロの塊から削り出されるとのこと。いやあ、一体何時間かかるんでしょうう? それでもなおこの製法と取るのは、削り出しが優れていると信じているからでしょう。そして愛!
本当はですね、フレーム全体を削り出すという試みは過去から行われて来ました。削り出しは鍛造などとはまた異なった理由で剛性を持ちます。しかし重量と剛性のバランスが保たれずに結局パイプ溶接構造に戻ることがほとんどです。それをあえて出してきたというのは並々ならぬ意欲を感じます。しかもですよ、強度計算の成果なのか、かなりのしなやかさも備えて居るようなのです。
で、素材は7075アルミ、そう超々ジュラルミンです。フレーム素材としては溶接にあまり向かないため見かけませんが、ステムやクランクなどではお馴染みの素材です。非常に高強度なアルミです。これを最終的にボルト止めすることでフレームは完成します。バイクフレームがボルト止めというのは心配がある人もイルカも知れませんが、ここはリヤサスモデルをチョイスしたことでそこらへんを解消しています。
削り出しフレームはひょっとすると流行しかけているのかもしれません。紹介しようとしてしそびれていたポール・マシンも見事な削り出しなのです。
https://www.pinkbike.com/news/field-test-2020-pole-stamina-140-the-fastest-trail-bike.html
こちらも7075アルミの削り出しです。一見パイプフレームに見えますが、両サイドを削り出した後接着、プラス保険の意味でボルト止めしています。これにポールが行き着いた理由は、地元フィンランドでリサイクルが厳しく定められておりそれに沿うためということと、そこそこ時間は掛かるが素材さえあれば待つこともなく各サイズごとに異なるパイプを在庫する必要もないとかどこかで言っていました。
話をフラスに戻します。
こちらは接着を使っていません。そういった意味では削り出しの純粋度としてはフラスの方が上でしょう。またサスペンションは基本的に4バーリンクなのですが、シートチューブの下側を取り払うことによりショックユニットの空間を確保しています。29erアルミフレームで160ミリトラベルリヤサス構造、それでいながら完成車重量16.8キロなのですからカーボンに肉薄する軽さです。
正直凝りすぎていてあくまでショーモデルなのかと思いきや、強度や疲労テストも2月にクリアし8月から生産と販売を始めます。もちろん今年です。いやあ、素晴らしい!
余りにも見事な出来なのでオフロードに持っていくのをためらってしまいますが、結構な戦闘力を持っていそうですのでやっぱり走らせなくてはいけませんね(笑)。