コルナゴ・C50の切断面を見てみよう

コルナゴ・C50の切断面を見てみよう

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いやあ、間が空いてしまいました(汗)。夏のダメージがまだ抜けきっていないbikebindです。なんだかいつも死にかかっている気がしますが……、きっと気のせいです。

無事に終わったツールやら撤退チームが出たジロ、国中にロックダウンが発令されているなか開催されたブエルタなど語りたい話はいくらでもあるんですけどね。

今日は見た瞬間に心を奪われたコルナゴ・C50の断面図に触れようかと。

コルナゴ・Cシリーズと言えば憧れの的、高値の花の代名詞でした。それは今のC64でも変わることはありません。非常に早くからカーボンの可能性を見いだしフロントフォークがスチールの時代からラグ式カーボンフレームにこだわってきたコルナゴのフラッグシップシリーズ、それがCシリーズです。

C50はド級の名作C40の後継となるモデルです。唯一の弱点とも言われていたノーマルサイズだったヘッド回りをオーバーサイズ化することで剛性を大幅にアップ。全体としてもかなりマッシブなシルエットを持つ次世代モデル(当時のです)と生まれ変わりました。

一般ユーザーからは剛性の余りのアップに旧モデルC40の方が良かったという声が上がっていたのを憶えています。それでも選手達からは相変わらずの支持を受けていたというのがレース至上主義のコルナゴらしいエピソードです。

最新カーボンバイクとは異なりヘッドチューブ、BB、リヤエンドなどにアルミがインサートされています。ここはその当時でもフルカーボンであるメーカーもあったのですが、コルナゴは信頼性をとっています。

驚いたのはヘッドチューブです。アルミスリーブが上下に分割されています。精度を出すためか、はたまた接着のためかちょっとわかりませんが、ただ単に外部から見ただけでは分からない切断の強みが発揮されています。

コルナゴと言えばラグと答える人も多いはず。それほどこのCシリーズは愛されました。このカットサンプルは外見からも分かるようにかなり過酷な扱いを受けたようです。クラックは数知れず、中も結構なダメージを見いだせます。

ラグは空隙がかなり見られます。複雑な形状故、成形が困難だったのでしょう。反面チューブはクラックも見られず内面が驚異的に滑らかです。多分マンドレルに巻き付けて成形したのでしょう。最新フレームのような内部清掃はしていないはずです。ラグもチューブもイタリアのフェラーリのF1パーツを作る会社に発注していました。C40、50の時代にここまでのカーボンパイプを手に入れられたのはコルナゴだけだったかもしれません。

ただチェーンステーだけは異なります。断面が他のチューブとは製造方法が違いを物語ります。これはC40の後期から取り入れられたHPチェーンステーです。2本のステーを上下に重ねたような形状をしています。内面は明らかにブラダを使用して成形したようなしわがあります。性能はさておき、工業製品として見た場合明らかに他のチューブの方が秀でています。外見からは作りが凝っているのはHPステーなのに……。やはり中身というのは見てみないと分からないものです。

このHPチェーンステーとBステー(集合部がモノステーとなったシートステー)はこのC40~50の前後でコルナゴを支えた核となる技術です。当時のピナレロに触発されたアルミフレーム×カーボンバックバイクをコルナゴもリリースしており、C40の走りを取り入れたバイクとして人気でした。個人的にはチタンフレームにこのBステーを採用したCT1が好みでした。

Colnago CT1

おお、今でも格好いい!

C50はこの後C59、C60を経て現行モデルのC64になります。

New flagship Colnago C64 is their lightest, fastest, most comfortable race bike

こうやって見比べると、C50のオーバーサイズ路線は間違いなかったんだなと感じさせられます。流行を取り入れることも大事ですが、自らの信じたコンセプトを投入することもまだ大切だと思わされますね。

見事です。

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