トレック・ドマーネ、第三世代へ突入!

トレック・ドマーネ、第三世代へ突入!

トレック・ドマーネ

かつての名選手、ファビエン・カンチェラーラに開発され愛されたエンデュランスレーシングバイク・ドマーネが前後サスペンションの他にエアロフォルムや長距離用の各種装備を手に入れて、新しくなりました。

これこそがドマーネをドマーネたらしめるシートサスペンションシステム『ISOスピード』

 

ヘッドチューブが大容量なのは『フロントISOスピード』を搭載しているため。前後サスペンションジャンルのロードバイクは今まで数多く生み出されてきたが、結局実用性が現実にそぐわなくその歩どんどが消えていった。しかしドマーネはそのレッテルを見事覆して見せた

ブレーキはディスクブレーキオンリー。タイヤ~ホイールとの兼ね合いもあるが、これからの装備として正しい選択だ。フロントは12×100㎜スルー、リアは12×142㎜スルーを採用する

 

圧倒的なクリアランスを誇るタイヤ~フレーム。38Cタイヤを装備してもなおクリアランスがある。トレックはファットタイヤと低圧を組み合わせ、ドマーネの前後サスペンションを生かす方向を持たせたようだ

BBは独自規格BB90ではなく、新規格『T47』を採用。基本的にBB30をねじ切り式にした規格で、オーバーサイズBBの一種。従来のBB90とはベアリングとクランクの距離が1mmほど変わるらしいがそれ以上に整備性、耐音鳴りなどのメリットが勝るとトレックは判断したらしい

 

空力とともに新しくドマーネに付与された汎用性という要素。年々大型化するダウンチューブにストレージボックスを埋め込んだ。レバー操作によってボトルケージ下を開閉することが出来る。実際の走行にはスペアタイヤや工具などは必須。非常に合理的な設計だ。下の写真のように専用の収納袋が用意される。これなら内部で不用意に動いて不快な音も出さないだろう

長距離の走行ではサイクルコンピュータの他にライトやベル、GPS、さらにカメラなどが多く使われる。現実の装備のためのマウンターを用意したようだ

ジオメトリー。H1.5を採用する模様

 

 

 

2020 Trek Domane goes all-in on all-road versatility: First-ride review

New Trek Domane smooths pavement with updated IsoSpeed & huge tire clearance

https://www.bikeradar.com/news/trek-domane-mk-3/

TEXT

いや、時間が空いてしまいました。済みません(汗)。どうも体調が落ち着きませんね。ネタ的には幾つも興味あるモノが出て来ましたが(近日中にCAAD13も書く予定です)、このドマーネには結構驚かされました。そして突き動かされた形です。

エンデュランスロードの雄。ドマーネ。前後サスペンションというMTBのみならず車輪の付く乗り物では一般的な装備をようやく手に入れた、本格的なロードバイクの代表ですね。これと並ぶのは……、スペシャライズド・ルーベくらいではないでしょうか。あくまでサスペンション搭載バイクというくくりですが。

前後にISOスピードを搭載するのは2代目で達成していました。リヤISOの調整もです。これ以上どうする? とも思いましたが、現行マドンのトップチューブ式ISOスピード、先々代マドンに近いエアロフォルム、そしてストレージボックスやステム回りの各種装備用マウンターなど現実的な装備を手に入れて見事3代目に生まれ変わりました。いやいや、トレックの技術者は恐ろしいですなあ(笑)。

比較 左が2013年型マドン7.9H1、右が新型ドマーネ。ヘッドチューブからダウンチューブへのボリュームと形状、フロントフォークの先細り、シートステーのアーチシェイプなど本当によく似ていることが並べてみるとよく分かる。(https://archive.trekbikes.com/jp/ja/2013/Trek/2013_madone_7_9_h1_double#/jp/ja/2013/Trek/2013_madone_7_9_h1_double/details

この時から……、7年ですか。確かに似てはいるんですが、時代の差も確実に感じます。マドン7.9H1は確実に古いです。時代の流れとは本当に恐ろしいです(笑)。ただこの時代のマドンもすでにかなりの空力性能を持っていましたから、これに近いと言うことはその性能を推して知るべしといったところでしょうか。ケーブルもほぼ全内装となりました。メカニックは泣きますが、性能としては上がっているでしょう。

個人的に驚いたのがBB47の採用です。これがブーンなどのトレックでもオフロード向けのモデルなら分かるんですがトレックの三大レーシングバイクの一角、ドマーネに搭載されたことに深く驚きます。T47は文字通り47mm径×1mmピッチのネジ規格を採用した30mm径シャフトに対応したオーバーサイズBBです。ただ対応シャフトは現在主流の24mmに対応する事も出来ます。

最近プレスフィットタイプBBの整備性や音なりなどが問題視されていたので、これはその回答とも言えるでしょう。しかし、T47もそこまで無敵の規格ではありません。というかねじ切りBBの昔からの弱点、ネジの頭に相当する部分ですね、ここがネックになることが多いのです。シマノの内歯式で随分と落ち着きましたが、この外歯式を見ると昔のトラウマが甦ります(苦笑)。今のホローテック2式のアウトボードBBは工具との嵌りが長いので比較的問題が少ないのですが、この昔ながらの薄々タイプはちょっと怖いですね。もちろんちゃんと組み立て、整備がされていれば問題はありませんが……。

その一方で軽量モデルエモンダには採用しないと私は踏んでいます。ここは1グラムを惜しむところです。世界最軽量というタイトルのためには多少のデメリットを飲み込んでいくのではないでしょうか? その一方でトレックロードの頂点とも言えるマドンには……、搭載しても良いかもしれません。現行マドンは決して超軽量というバイクではありませんから。整備性を上げるというのは正しい選択でしょう。この部分だけマイナーチェンジしてもおかしくありません。

重量はフレームセットで1235グラム(OCLV700)、1265グラム(OCLV500)となっています。どこまでセットなんだかちょっとわかりにくいですね。おそらくフロントフォーク系は入っていないでしょう。400グラムをさっ引くと800グラムクラスのフレームになってしまいますので。前後サスの重量はサスペンションシステムとしては超軽量級とはいえ、ディスクブレーキモデルなのでそこまでではないかと。軽さはエモンダに任せられるとはいえ、「重くてもいいじゃない!」というトレックの主張が垣間見られてとても興味深いですね。

さらにトレックは走りを太いタイヤを低圧で運用するということを考えています。38Cタイヤも飲み込むクリアランスはその証左でしょう。トレックというOCLVカーボンで軽さを手に入れてきたメーカーとしては面白い方向性に振りましたね(もちろんOCLVカーボンは剛性が足りないという話は聞いたことがありませんけど)。これは、このドマーネが今後のトレックの指標となる可能性が高いです。

楽しみなバイクが出て来ましたよ!

 

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