スリムシェイプな倒立フォーク、インテンド・エッジ

スリムシェイプな倒立フォーク、インテンド・エッジ

 

拡大!

 

新型の最大の変更点、オーバーサイズ化したクラウン部

     CNCで作られた調整ノブ

徹底的に肉抜きされたエンド部。20ミリと15ミリシャフト両方に対応する

左右末端にすべり止め加工を施したスルーシャフト

SKF製シール

淡い輝きを放つインナーチューブ。ロイヤルフラッシュコーティングと名付けられた

なんとSRサンツアー製のブッシュ

●スペック
■サイズ 29er、27.5(兼用ではない)
■トラベル 29er:80から180ミリ(10ミリ刻み)、27.5:80から180ミリ(10ミリ刻み)スペーサーにて変更可能
■アウター アルミ 110×15ミリスルーアクスル(ブースト)、110×20ミリスルーアクスル(ブースト、ノンブースト)
■インナー 35ミリ アルミ ロイヤルフラッシュコーティング
■ダンパー リバウンド、コンプレッション
■スプリング エアー
■重量 2130グラム(29er)、2085グラム(27.5インチ)

https://www.pinkbike.com/news/intend-edge-new-age-pressrelease.html

https://www.intend-bc.com

TEXT

ドイツ・フライブルクを拠点とするメーカー、インテンド。コーネリアス・カプフィンガーが開発の陣頭に立っています。結構前にDH用ダブルクラウンフォークを製作しているのを書いたことがあります。あの時にもすでに倒立シングルクラウンフォークは存在し、そのうち書こうと思っていたのですが……、このざまです(涙)。あれから2年近くの時を経て、やっとこさですね。

これは『ヒーロー』。29er専用の150ミリトラベルを持つ。倒立フォークでこのトラベルを持ちながらなんと1800グラムという軽さを持ち合わせる

 

DHフォークの『インフィニティ』。最大215ミリトラベル、2450グラム。コラム部分をボルトで繋ぐ独特な形状を持っている

倒立フォークはモーターサイクルでは一般的な存在です。しかしMTBでは圧倒的少数派と言っていいでしょう。あのオーリンズですら正立を採用していますし、近年で広く認知された製品は……、ロックショックス・RS-1くらいではないでしょうか? DVOのエメラルドが次点? 使っている人はほとんど見かけないXフージョン・レベル、それくらい……。シングルクラウンとダブルクラウンとでは意味合いも異なってきますが、今は強引にひとくくりにします。

ではあえてこの構造を採用する理由は? やはり剛性だと思います。特に前後剛性は高いです。インテンドはこの新型エッジにおいてクラウン部を大型化することで一層の剛性強化を図っています。それでいながらねじれ剛性がちょっと低めというのがMTB倒立フォークの一般認識なのですが、全体の剛性を高めるためにさらにスルーシャフトにも一工夫しているところが面白いです。

スルーシャフトは規格は同じでライトとヘヴィの二種類が用意されていて、軽さを取るか、剛性を取るかという乗り手によって選択できます。しかもエンドのクランプ部にすべり止め加工を施し従来以上の耐滑り能力を手に入れています。これは基本的に一部のハードユーザーにしか分からないと思いますが、大柄なライダーにも恩恵があると思われます。

インナーチューブはインテンドは確かハードアルマイト(ゴールドコート)で十分と言っていました。今回採用したロイヤルフラッシュコーティングはハードアルマイトの色落ちを気にしてと言うことです。色の濃いアルマイトは2年間の使用後わずかに色落ちしてクレームが来たとか。(あとフォックスのゴールドコートを請け負っているところをみっけたからと身も蓋もないことも書いてあります(汗)。ですが、テスト動画を見ると明らかに摺動性能も高くなっています。表面処理だけでなくSKFのシールと新たに採用したSRサンツアーのブッシュの効果も相まってのことでしょう。やはり摺動性能は高いにこしたことはありません。

このブッシュはインテンドのオリジナル型を起こしてもらうほどのこだわりが詰まっています。一般のものより背が高く作られており、重量はわずかに増加するが圧力を分散することでインナーチューブがよりスムーズに動くようになるようです。うーん、これはオタクの仕業だ(笑)。いやいや、オリジナルのブッシュを作らせてしまうとは……、これだけで使ってみたくなります!

DHフォークは楕円チューブやコラムレス構造などかなり尖っていましたが、こちらのシングルクラウンモデルは幾分おとなしめに見えます。グラフィック的にも非常にシンプルに出来ており、着けるフレームを選ばないでしょう。個人的には特にシルバーがお気に入りです。太ささえ感じさせないこのデザインは、どんなバイクを作ろうかという私の妄想を駆り立てさせます。シンプルでありながらちょっとゴツイ、昔のターナー・アフターバーナーのようなフレームに入れてみたい……。

今回の変更でEバイクに使用しても大丈夫なほどの剛性を手に入れたというので、かなりな自信を伺わせます。日本に入ってきて欲しい、そう思わせるフォークです。

 

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