ピレリ、トレック・セガフレードにタイヤを供給へ

ピレリ、トレック・セガフレードにタイヤを供給へ

あらま。

 

TEXT

ピレリが本格的にスポーツバイクタイヤ作りに復帰して、2年ほどが経ちます。クリンチャー、チューブレス、チューブラーと順調に作を重ねてきていますが、その品質を向上させるためにか、トレック・セガフレードチームに供給することとしたようです。

ボントレガーの初期にはヨーロッパメーカーのタイヤに遅れを取ることもありましたが、それはすでに過去の話です。近年のトレックが供給するチームはオウンブランド・ボントレガータイヤを使用することが多いのですが、今回はどういった風の吹き回しなのでしょうか? 世界チャンピオンであるマッズ・ピーダスンの意見が聞けるのは間違いなく財産ですが、それはピレリ側の話です。トレック側のメリットは……? うーん、単純に考えれば資金なのですが、スポーツバイク界屈指のメーカーであるトレックです、そういうことではない気がします。

トレックは大きく優秀な自転車メーカーです。しかし歴史あるタイヤメーカーからは盗むモノが沢山あるのでしょう。

タイヤは……、難しいのです。ええ。単純にコンパウンドを開発出来れば良いわけではなく、核となるのはやはりケーシングです。さらにチューブレスになると更にハードルは上がるはずです(シーラントを使うチューブレスレディとはいえ)。トレックはここら辺の技術は一通り持っていますが、おそらくフィーリング部分を盗もうとしようとしているのではないでしょうか? タイムを出せて気軽に楽しく走れる……、ライダーの夢ですよね。

細身のチューブラーが主流だった30年くらい前、ロードバイクは本当にりにくい……、いや、乗るのに技術が必要な乗り物でした。ポジションがかなり前傾だったことやギヤセッティングなど様々なことが理由に絡んできますが、タイヤが非常に繊細だったこともかなり大きな理由だったと思います。パンクもし易かった。乗り心地はかなり硬かった。シーラントも今のような高性能で使い物になるものはありませんでした。パンクすると……、終わりなんです。いや、修理道具もありましたが、私は直すことはありませんでしたねえ。そして最後はリムセメントです。今のリム接着テープのように高性能なモノがなかったので、接着は確実に弱くなり交換後は7割くらいの性能しか発揮できなくなってしまいました。こう考えると現代のタイヤたちはクリンチャー、チューブレス、チューブラーすべて、本当に素晴らしいです。ホイールを含めて考えると、ここ30年で最も進化したのはこの部分ですね。

そして今、ロードバイクタイヤはディスクブレーキ対応チューブレスタイヤとしてさらに進化しようとしています。おそらくここ2年くらいで劇的に変わると私は推測しています。そこら辺も老舗タイヤメーカーから学ぼうとしているのかもしれません(おそらくピレリがクルマ、オートバイなどのキャリアのあるメーカーだから。純粋バイクタイヤメーカーならこういう風にはならなかったのではないかと)。

さてこの組み合わせはどのような化学反応を生むのでしょうか? たのしみですねえ!

 

タイヤカテゴリの最新記事