これは興味深い……!
Patent Patrol: Campagnolo files for new hub w/ magnetic clutch engagement
TEXT
これもカンパニョーロの未来です。
ハブシャフトに対して特許モノの常で、第一ボディ第二ボディなどなんかさっぱり分からないような表現がなされていますが(汗)、基本的にDTスイスのスターラチェットシステムをスプリングでなくマグネットの力で動くようにしたものと考えて良いかと。
左がハブボディ側の勘合部、右がカセットボディ側
リヤハブのフリーシステムに従来品は爪を用います。最近はクリスキング、DTスイスを筆頭にマヴィック、そしてシマノがリングドライブというギザギザが刻み込まれた輪を組み合わせる形式に移行しつつあります。
これらはDTスイスのもの。
リングドライブのメリットはいくつかあります。コンタクトのダイレクトさ(掛かりの良さ)、各勘合部の負担軽減、エネルギーロスの軽減などなど……。ちなみにシマノに採用理由を聞いた時には『静寂性』を挙げていました。え? エネルギーロスとかは? とも聞いたのですが、そこら辺も付随するかもしれないが第一理由は静寂性と断言していました。それはそれで驚いた記憶があります。シマノはハブから始まったメーカーと言って良いでしょう。そして今でもハブは一級品です。そのメーカーが言うのですから他の部分は些末なことなのかも知れませんね。
しかし! このカンパのマグネットクラッチフリーシステムはここに踏み込んでいます。時速50キロで走って居るときに漕ぐのを停止した時にフリーハブが生じるエネルギーロスが2Wになるとカンパは述べています。これを磁力を使用することでどこまで軽減出来るのか……。興味深いところです。
そして図をよく見てみると、磁力をコンタクトに用いるとはいえ、歯を刻み込んだ輪状の物体をかみ合わせるという部分は他のリングドライブ採用メーカーのものと変わりありません。ということはこれは奇抜なものでもなんでもなく、カンパが世間のリングドライブの流れに対する回答の一つと受け取って良いかと。
先日見かけた同じく特許出願したスプロケット側に移したフリーボディとセットで考える必要があるのでしょう。あれがあるので、飛んでいってしまう可能性のあるスプリングを排除したかったのかもしれませんね。
カンパのリヤハブはオーバーサイズ化した以外はそこまで大きな変化はありません。しかしこの新型システムはここ10~20年の同社のもので最大の変化になると思われます。何時出てくるかは……、正座して待つしかありませんね!