マレットサイクル・ザハニーメーカー
Review: Has Mullet Cycles nailed mixing wheel sizes with their titanium Honey Maker?
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29erと27.5ホイールを組み合わせて79ers。キワモノ感満載ですが(笑)。でも敢えてこの時代に送り出してきたことに拍手を贈ります。しかもエレベーテッドチェンステーといったリジッドフレームにはあまり見かけなくなったリヤ三角をチタンフレームでという、ひたすらマニアックなバイクを作り上げたのはマレットサイクルです。
制作者はマイク・ヴィドヴィッチとマイルス・シュワルツ。名前からすると欧州の人かと思ったのですが、アメリカ・南カリフォルニア育ったとあります。そのままアメリカのメーカーと捉えて良さそうです。マレットサイクルは2013年から始めたマイクの自転車研究所であり、彼の30年のメイキング、5年のデベロップメント、2年のプロトタイピングの結晶です。
前後異径ホイールというのはオフロードサイクルではとくに珍しい考え方ではありません。というか普通です。前輪は走破性とグリップ力のために大きく、後輪は取り回しと加速、そしてトラクションのために小さくする考えは古くからあります。そしてそれをMTBに導入しようという動きも。まあそれらは大体失敗に終わるのですが……。最近で最も大きく前後異径を取り入れようとしたのはトレックでしょう。69erと命名し、29er時代に独自の設計で対応しようとしました。しかしまったく普及せず、グループ企業であったゲーリーフィッシャーを丸ごと飲み込み29er時代に対応した過去があります。
前後異径の理由は他にも。
ホイールの軸が後ろより前の方が高い位置にあるとバイクを傾けることが直感的にしやすくなり、ステアリングの力を少なく出来るそうです。これは分かります。ああ、このコーナーリングのしやすさをフォローするために太いタイヤ(太ければ大体ハイグリップ)が前提なのかもしれません。
しかし今回のマレットサイクルはこれだけではありません。エレベーテッドチェーンステーがキモとなります。
ハニーメーカーのエレベーテッドチェーンステーはチェーンジャムの防止やチェーンヒットのリスクを避けるためではないようです。支点の位置をシートチューブにまで持っていくこと。それがコーナーリング時の路面に対してのスクラブアングルをフロントホイールに従う方向に持っていくようです。(???)ううん、ここら辺はイマイチわかりませんね。ちょっと勉強します。
前三角がかなりコンパクトになって居るのにも好感が持てます。29erになってからどうしてもバイクは大きくならざるを得ませんでした。そこに手の内で操れる感覚がすくなくなったのもまた事実です。ハニーメーカーはそこの部分を解消してくれそうですね。
このバイクは3.0インチというスーパーファットまで生きませんがかなりの極太タイヤを前提としています。さらに150ミリフォークを前提として用途がエンデューロというのですから、従来のバイクとはかなり異なるものだと思って接した方が良いみたいです。
写真はチタン製ですがアルミ製もあるようです。それぞれ10年と5年の保証が与えられて居ます。
最初はかなり色物的バイクだと思ってしまいましたが、読めば読むほど論理的な知見に導かれたバイクだということが分かってきました。これは面白いです。カーボン全盛のこの時代にメタルフレーム単体に何十万円も払うのは気が引けるかもしれませんが、これは試して見る価値が十二分にあるバイクかもしれません。